紫陽花の花がずいぶんと色づく。 朝の道で田んぼの畦などにそれが咲いていると。 クルマを停めて降り立ってみたい衝動にかられる。
若い稲の緑とそれはなんともよく似合う。 絵のような風景。こころいっぱいにそれを描きたくなる。
そんな畦道のかたわらに腰をおろし足を休めているお遍路さん。 声をかけたくてたまらなかった。けれどもそれが出来ないもどかしさ。
わたしにはどうしても描き終えることが出来ない絵がある。 けれども自分の目で見たそのままを記憶することは出来た。
そんなつたない絵のようなものをわたしはたいせつに思う。
そうして平穏に一日が暮れる。
これはけっしてあたりまえのことではないのだと。
あの日からずっとそう思い続けている。
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