桜の木の下のたんぽぽがすっかり綿毛になって
こころもち首をかしげるようにしながら風に吹かれている
いまはどこにも行きたくはないのだとひとりがつぶやく
けれども風まかせの身の上だものしかたないよともうひとりが
さびしがりやのひとりは一緒に行きたいよとみんなに言うけれど
風には風のしめいのようなものがあってどうすることもできない
せめてそよ吹く優しい風になりたくて微笑んでみるのだった
それがよいことなのかいけないことなのか風にはわからない
綿毛たちは自分が種なのだときづく未来もあれば希望もある
風さん風さん待っているひとがいてくれるのかもしれないね
わたし行くよとひとりがうなずくとみんなが勇気の声をあげた
風はせいいっぱい微笑むそうしてふわりふわりと種をはこんだ
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