朝の道の銀杏の木がすっかり黄金色になった。 朝陽を浴びてきらきらと輝いている姿に。 思わず歓声をあげて見上げたことだった。
いつまでも散らないでいてほしいけれど。 それは春の桜のようにはらはらと散っていくもの。
そうして冬がくる。どうしようもなく冬になるのだ。
仕事を終えて帰宅する道。四万十大橋を渡り終えて。 そのほとりにある東屋にひとりのお遍路さんが休んでいた。 時間的にこれ以上歩いても泊まる場所はないだろうと思われる。 おせっかいかもしれないと思いつつも声をかけたくてならなかった。
あんのじょう。どこで寝れば良いのか悩んでいるところらしかった。 東屋で野宿をするお遍路さんもいるけれどこの寒空には辛そうで。 お大師堂に泊まるようにとすすめたらとても喜んでくれたのだった。
帰宅してすぐにあんずを連れてお大師堂に行った。 そのお遍路さんがすぐに来てくれるような気がしたのだけれど。 しばらく待っても姿が見えず、仕方なく家に帰って来た。
もしかしたら気が変わったのかもしれない。 喜んでくれたけどやはりおせっかいだったのかもしれない。 なんだか一気に悲しくなってしまってしょんぼりとしてしまう。
夕ご飯の支度まで少し時間があったので。 窓辺から土手のほうを気にしながらずっと眺めていた。
そうしたらやっとそのお遍路さんの姿が見えた。 確かにお大師堂に向かっている。その足取りも軽やかに見えた。
ああよかった。胸をなでおろしたのは言うまでもない。
なによりも嬉しさがこみあげてきて。
ほろりと涙が出そうな出来事だった。
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