曇り日。太陽のありがたさをしみじみとおもう。
あたりの景色が一気に冬枯れてしまったように感じる。 灰色の世界。山々の紅葉にはっと目をみはったりする。 そうしながら秋を確かめる。まだ冬ではないのだなと。
すこしほっとする。
雨が降らない限り毎日の散歩は欠かさない。 ほんの少しの道のりだけれど歩くと身体が温まる。 猫じゃらしの群生するなかに飛び込むようにして。 あんずがおしっこをする。その仕草も愉快だった。
お大師堂にはふたりのお遍路さんがいた。 ひとりはなんと焼酎を飲んでもう酔っている様子。 ひとりは白髪の物静かな人で下戸なのだと言う。
ふたりはたまたまここで出会ったらしく。 白髪のひとはちょっととまどっているようだった。 これも縁でしょうと言うとそうですねと微笑んでくれた。
酔ったひとがしばらくあんずと遊んでくれる。 そのひとは犬と会話が出来るのだそうで。 あーだらこーだら言ってしゃべっているのが愉快だった。
そうして酔った勢いなのか。私の背中をさすりたいと言い出す。 重いでしょ?痛いでしょ?とそれがほんとに当たっているから。 無下に断るわけにもいかずちょっとだけ背中をさすってもらった。
私はそういうチカラを信じないわけではない。
酔ったひとは背中をさすり終わると肩をえい!っと叩き。 呪文のようなお経のような言葉をつぶやいていた。
まだまだ足りないと言う。もう少しなのにとも言う。
さて効き目はいかに。それは気のせいかもしれないけれど。 不思議と背中が軽くなったような気がしないわけでもなかった。
これも縁でしょう。ありがとうございましたとお礼を言って。
微笑みながら家路についたことだった。
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