夕暮れ近く。庭先で聞きなれない鳥の声がした。 あれはモズだ。秋になったんだなあと彼が言う。
昼間の暑さを思うとその何気ない一言が嬉しかった。 秋はさびしいけれど秋はせつないけれど。 心のどこかでちいさな秋を待ちわびているのかもしれない。
茜色の空を見上げながらいつもの散歩に出掛ける。 刷毛で描いたような茜雲も秋を知らせてくれている。
かと思えばツクツクボウシが声を限りに鳴いている。 あふれんばかりの夏に秋がそそぎこんでいるようだった。
てくてくと歩きながらじぶんのことをかんがえる。 体調は少しずつ楽になっているようでほっとしている。 まだ歩けるんだ。ずっと歩けるんだと自信がわいてくる。
ようは気の持ちようなのだ。勇気を出して歩み続けることだ。
秋がくれば冬がくる。冬になれば春を待ちわびることだろう。
そうして歳を重ねていくことに誇りを持てる生き方をしたい。
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