夕風を待ちかねていたように散歩に出掛ける。
茜色の空に沈む太陽はまだ少し熱を帯びているけれど。 土手のススキがその熱を扇ぎ冷ますように風に揺れている。
ここちよい涼風だった。昼間の暑さが嘘のように思う。
お大師堂にはお遍路さんの大きな荷物があった。 姿は見えず買物にでも行ったのかなと思っていたら。 川でじゃぶじゃぶと水浴びをしているところだった。
ここらへんは汽水域で水は塩分を含んでいるのだけれど。 汗にまみれた身体にはどんな水でも心地よいものだろう。
声をかけるのはちょっとはばかられそっとお参りをする。 そしたらいつの間にか帰って来ていてびっくりしてしまった。
「いやぁこんなかっこうですいません」と腰をタオルで巻いて なんともさっぱりとした様子でにこにこと微笑んでいた。
目のやり場に困ったけれどほんの少しおしゃべりをする。 暑さにまいってしまって思うように歩けないことなど。
先日はひとりのお遍路さんが熱中症で亡くなったこともあり 炎天下を歩き続けるということはほんとうに辛い事だと思う。
どうか無理をしないように。どうか無事にと祈るばかりだった。
ささやかな出会い。そのひとの笑顔が嬉しい。
ああ今日はいい日だったねとつぶやきながらの帰り道だった。
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