新鮮な鰹が手に入ったので『ひっつけ寿司』を作った。
高知の郷土料理なのかなと思うのだけれど。 握り寿司のようなもので作り方はとても簡単である。
我が家は鰹で作ることが多く、お刺身より少し薄めに鰹を切り。 塩をまぶしたあとたっぷりのお酢に浸す。柚子があればなおよし。 そうしてそれに青紫蘇やおろし生姜などを加えるともっとよい。
寿司飯は市販の寿司酢のもとで作るからこれも簡単に出来る。 あとは軽く酢を切らした鰹をひっつけて一口大の握り寿司にするだけだ。
ワサビはお好みで。我が家は鼻が痛くなるほどたくさんつける。 今夜も喜びの涙を流しながらあとからあとからとたくさん頬ばった。
夏はどうしても食欲が落ちがちになるけれど。 お寿司に限らず酢を使った料理がいちばんに思う。
そんな『ひっつけ寿司』を食べながらある女性の事を思い出した。 もう10年近くになるのかもしれない。私がネットを始めたころ。 福岡の女性と仲良しになった。メールを交換したり電話で話したり。 手紙を送ってくれたこともあった。私のことを「姉さん」と呼んでくれたっけ。
彼女が『ひっつけ寿司』を作ってみたいと言い出したのだ。 お母さんとふたりで作ってみるからと電話があって作り方をおしえた。 お魚切ったよそれからどうするの?お酢入れたよそれからは? 可笑しくなるくらい何度も電話がかかってきて最後には「出来たよ〜!」
彼女の福岡弁が好きだった。いやそれ以上に彼女のことが大好きだった。
そんな彼女が忽然と消える。ある日をさかいにメールも電話も不通になる。 それはとてもショックで寂しい出来事だったけれど。 彼女にはどうしても遣り遂げなければいけない大切なことがあった。 日頃からそんな悩みを打ち明けてくれていたおかげで。
とうとうその日が来たのだなと私はその事実を受け止めることが出来た。
縁は儚い。けれどもどんなに歳月が流れようと。
私は彼女のことを決して忘れることはないだろう。
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