小粒の雨が降ったりやんだり。 夕方になりやっと空が明るくなる。
日が長いのはありがたいことだ。 夕食を済ませてから散歩に出掛ける。
川風がとても清々しく心地よかった。 土手の緑がそよそよと風に揺れている。
さらさらと水の音。そして水が匂う道。
相変わらず草を食べたがるあんずをその場に残し。 自分ひとりでお大師堂に向かった。 振り返ると草を食べている。ほんとうに牛のよう。
そうして私がお大師堂に着いた頃になって。 やっと置き去りにされたことに気づいたようだ。
きゃいんきゃいんと叫ぶような声でなき始めた。 くすくすと笑いをこらえながらお参りを済ます。
私の姿が見えるかな。あんずの視力を確かめるように。 お大師堂の石段のところから彼女をしばし見つめてみた。
確かに目が合った。そうして嬉しそうに飛び跳ねている。 ちゃんと見えるんだ。そう思うと私も嬉しくなってくる。
川風を背にうけながら土手の道をふたり帰る。
今日も平穏だったね。そうして暮れていくんだね。
ひとりごとのようにそんな言葉をつぶやいていた。
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