六月になりはじめての山里だった。
稲の緑がずいぶんと伸びていておどろく。 あぜ道には紫陽花がそれは綺麗に咲いて。
のどかな風景に救われるようにほっとする。
私はこの山里のことがとても好きだった。 それが気の重さを少しでも楽にしてくれるのだ。
たまった仕事を片っ端からやっつけながら。 今日こそは母にちゃんと話そうと思っていた。 けれども言えない。今日もやはり駄目だった。
勘の鋭い母のこと。薄々は察しているかもしれず。 いっそ仕事が見つかってから話そうかともおもう。
肝心の仕事はまだ見つからず。昨日もハローワーク。 気が急いているせいか焦る気持ちばかりつのって来る。
この先いったいどうすればいいのだろう。 ほんとうになるようになってくれるのだろうか。
いやいや。そんな弱気ではいけないなといま思った。 もっとおおらかにゆったりとかまえていなければ。
うまくいくこともいかなくなってしまうかもしれない。
金曜日にまた来るね。そう言って山里の職場をあとにする。 「お疲れさん、ありがとうね」母の言葉が胸に沁みてくる。
わたしはあしたもうごく。やれるだけのことをしてみる。
けっかをかんがえていたらなにもできないのだもの。
いいことがきっとある。すすめすすめまえへすすめ。
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