しきりに鳴くのはほととぎす。 テッぺンカケタカ テッペンカケタカ
声は聴こえど姿はみえぬ。
そこにあるのはただただ深い緑だった。
今日こそはとこころを決めて山里へ行く。 気が重ければ軽くすれば良いのだと思う。 深刻ぶることなどなにもないのだもの。 笑顔でいれば穏やかに時が流れるだろう。
先週から風邪をこじらせていた母は。 なんとか元気になったようでほっとする。 よほど話し相手が欲しかったのだろうか。 あれこれとうるさいくらいによくしゃべる。
庭のかたすみには雪ノ下の可憐な花が。 ちいさな天使のように咲き始めていた。 母も私も大好きな花だ。とても心が和む。
咲いたねって言うと咲いたよとほほえむ。 そんな母は見るたびに老いていくようで。 まるまった背中。白い髪がせつなかった。
テッペンカケタカ。テッペンカケタカ。
またほととぎすの鳴く声がこだまする。
山の緑が目に沁みるようにまぶしかった。
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