二十四節気のひとつ『穀雨』だという今日。 昨日の肌寒い雨とはちがうのはそのせいだろうか。 しとしととやわらかな雨が静かに降りつづいた。
穀物の生長にはひつような雨だということ。 もしかしたらひとにもひつような雨かもしれない。
そんな雨も午後にはやみほんの少し青空がみえた。
「け〜んちゃん」父の事をそう呼びながらサチコが帰る。 ほんとうに愉快な娘だ。我が家の茶の間も一気に晴れた。
おみやげに資源ごみをたくさん持って来てくれたりで。 それもまた笑いの種になりしばしにぎやかに語り合う。
すこしふっくらとした。なんと5キロも太ったそうだ。 仕事と家事の両立でやつれはしないかと心配していたけれど。 家に居た頃よりもずっと健康そうに見えてほっとする。
春物の衣料などを袋に詰め込んであわただしく帰って行く。 庭に出て見送るときはやはりほんの少しさびしくなった。
そうして家に入ってもまだサチコの残したふんわりとした まるで春風のようなくうきが漂っていてふとせつなくなる。
父も母もまたこんな日をずっと待っていることだろう。
春風がやがて夏風にかわり向日葵のように咲く娘のことを。
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