春に三日の晴れはなしで今日もまた雨になった。 先日ほどの冷たさはないけれどもやはり肌寒い。
川仕事が一段落したので山里の職場へ顔を出す。 二週間ぶりの峠道には山ツツジがたくさん咲き。 山肌からこぼれるように咲く花に心をうばわれた。
民家が近くなると大きな銀杏の木が見えてくる。 裸木だったその木にも新芽があふれるように芽吹き。 思わず歓声をあげてしまうほどその緑が美しかった。
田んぼには植えられたばかりのちいさな稲が並ぶ。 まるで雨を嬉しがっているかのようにそこにある。
懐かしいなとおもう。まるでじぶんの故郷のようだった。
母は相変わらず血圧が高く足の痛みも訴えていた。 いくら気丈とはいえやはり無理がたたっているのだろう。 なんとか助けてあげたいと思うけれどほんの少し気が重い。
いったい私はどうすればいいのだろうと悩んでしまうのだった。
暮らしのことをかんがえるともう限界かもしれない。 とにかく収入のある仕事をしなければ食べていけない。
それを母に言い出せなくてそれが悩みの種になっていく。
「すまないねえ。ありがとうね」母のことばがあたたかくて。
涙があふれそうになりながら。逃げるように家路をいそいだ。
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