立春を過ぎたとはいえ。まだまだ冷たい風が吹くけれど。
あちらこちらに梅の花や。もう菜の花も咲き始めて心がなごむ。 そろそろ鶯の初音も聴こえるかもしれないと耳を澄ましている。
例のごとくで今日も川仕事。 海苔の生育が思うようにはすすまなくて。 ふっと不安がつのり始めた。大丈夫だよ。 彼の言葉にほっとしながら手を動かしていた。
ほんとうに自然まかせ。それが自然の恵みでもある。 欲を言えばきりがないのだと戒めるようにおもった。
彼が勤め人だった頃はそれなりに安定していた暮らし。 今は家業の海苔の収穫だけが頼りだった。保障もなく。 すがるような気持ちで日々を乗り越えていくしかない。
せめて年金をもらえる年になるまで頑張ろうな。 そんなことを語り合う年にふたりなってしまった。
そうしてそんな年だからこそお互いを思い遣れる。
このところまともな夕食を作ってあげられなかったから。 今夜はお魚のすり身をコロッケ風にしてみた。 こんがりと揚がったのをはふはふしながらふたり頬張る。 お醤油よりソースがいいなとか言いながら日本酒をのむ。
そうしてまったりと夜が更けていく。
あしたもがんばろうねおとうさん。
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