真夜中に雨の音を聴いた。なんと心地よい音だろう。 どこかに流されていってしまうような。それでもかまわない。 そんなふうに身をまかせたまま辿り着く場所があればいいなと思う。
終の棲家に雨が降る。たとえ流されてしまったとしても。 ここに帰って来るだろう。もうじゅうぶんにそのことを知った。
つい先日のこと。幼馴染でもある父方の従兄弟が亡くなった。 憶えているのはとてもやんちゃな子供だったことばかりで。 大人になった彼のことを私は何ひとつ知らないままだった。 40年ぶりの再会はあまりにも遅すぎたと思う。もの言わぬ。 棺の中の彼に会った。そんな時なんと言葉をかければよいのか。 わからなくて途惑った。それがありのままの自分だったと思う。
叔父も叔母もすっかり憔悴しきっていてただただ手を握り締めた。 それが不義理を重ねてきた自分に出来る精一杯の事だったと思う。
誰も私を責めない。そればかりか皆が優しく声をかけてくれる。 これが血なのか。分かち合った血なのか。なんと愛おしい血だろう。
身内という言葉にどれほど救われたやしれない。アイタカッタノダ。
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