暖かさにほっとしていたのもつかのま。 また真冬らしく冷たい風が吹き始める。
けれどもちいさな春を見つけたこころには。 そんな寒さもむしろ心地よく思えるのだった。
寒さなければ花は咲かず。ありがたき冬かな。
昼間。久しぶりにサチコが帰って来てくれる。 お正月以来かなと思う。とてもうれしかった。
何度か夢を見た。そのたびに気掛かりでならず。 風邪をひいているのではないかと心配になったり。 かと言ってうるさく電話をするのも気が引けては。 日々が流れていくばかりだった。いつもの笑顔と。 明るくてひょうきんな素振り。我が家に花が咲く。
三人でインスタントラーメンを食べた。おいしい。 父も母も声が弾む。こんなに嬉しい昼食はなかった。
食後あっけなく帰って行ってしまったけれど。 しばらくは余韻が残る。あたたかな息のように。 サチコが空気になって家中に漂っているようだった。
ずいぶんと所帯じみてきたよねと。父と母は微笑んだ。 スーパーのチラシを見ながら。卵が78円だよと喜んだり。 買物に行かなくちゃと急いで帰ったうしろ姿のことなんか。
嫁いでちょうどふた月。あっという間に日々が流れた。
寂しさも薄れ。ひたすら懐かしむばかりのこの頃だった。
また帰って来てねサチコ。父も母もいつだって待っているよ。
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