寒気が少し緩む。降り注ぐ陽射しがありがたく。 さあ散歩に行こうとおもてにとび出したけれど。 雪の名残だろうか。思いがけずに風が冷たかった。
毛糸の帽子を被る。目深に被り耳も隠せばとても暖かい。 あんずが首をかしげている。変装したように見えるのか。 そのきょとんとした顔が愉快だった。お帽子似あうかな?
思えば子供の頃から帽子っ子だった。 弟の野球帽を被りたくてたまらなかったり。 桜田淳子の真似をしてベレー帽も被ってみたり。
夏の麦藁帽子も好きだったけれどやはり冬の。 毛糸の帽子がいちばん好きだったように思う。
編み物が好きだった母が毎年のように編んでくれる。 てっぺんにぼんぼりのついたやつ。ころむくっとした。 そのぼんぼりの手触りがとても懐かしい。冬の通学路。 私はとてもその帽子を自慢気に被っていたように思う。
弟の帽子はてっぺんに尻尾みたいなのがあってその先に。 ぼんぼりが付いていたのだった。みんなが面白がっては。 それを後ろから引っ張るのだった。私も一緒にふざけた。 弟が逃げるのを面白がって。追いかけっこしたりもした。
ある日とうとう。そのぼんぼりを千切ってしまったことがある。 弟は泣くし。私はどうしようもなくそのぼんぼりを手のひらに。 宝物のようにして家に持って帰った。もちろん母に叱られたけれど。 あくる朝にはちゃんとそれが尻尾の先にくっ付いていたのだった。
毛糸の帽子。母が編んでくれた帽子。
冬が大好きだった子供の頃を一気に思い出した。
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