大根を煮る。豚バラ肉と一緒に煮る。
初めての畑仕事だった。種を蒔いて。 緑の芽がたくさん出て来た時はすごく嬉しくて。
その大根がやっと食べられるようになった。 この感動はなんだろう。なんともいえない。 今まで食べた大根でいちばん美味しいと思う。
若いからなぴちぴちしているからだよと。 彼が笑いながら言う。とてもやわらかい。 包丁で切るときもすべすべっとしていた。
今はまだちいさな子供の足くらいの大根。 やがては私のふくらはぎくらいになるかな。
午前中は川仕事。もう一息になった。 寒さも気にならずこの仕事好きだなと思う。
お昼過ぎ思いがけずにサチコが帰って来る。 大きな白菜を貰ったのだそうだ。半分こしよう。 母の畑の白菜は失敗作になってしまったので。 喜んで分けてもらった。近いうちに鍋料理しよう。
日に日にサチコは主婦らしくなってきたようだ。 母は心配ばかりしているけれどもう大丈夫みたい。 だんだんと所帯じみてくるものだなと彼も笑った。
夕方まで待たずに早目にお散歩に行く事にする。 風が少し冷たいけれど陽射しが降り注ぐ午後だ。
お大師堂の大きな銀杏の木が散り始めていて。 黄金色の絨毯のように小道を埋め尽くしている。 そこにあんずを待たせているとなんだか絵のよう。 その絵はお座りをしてきゅいんきゅいんと鳴くのだ。
お待たせ。帰ろうかねと声をかけると一気にはしゃぎ出す。 ここにふたりで通うようになってもう一年が過ぎたのだと思う。
いろんな出会いがあった。あんずと遊んでくれたお遍路さんのこと。 臆病なあんずが尻込みをして困らせてしまったこともあったっけ。
晩秋から冬。そうして春が来て夏が来てまた秋が過ぎ冬になった。
ひとりひとりの顔を思い出す。ここにはささやかな縁があふれている。
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