空気が澄みわたっているのだろう。 空の明るさにはっと夜空を見上げた。
まだ満月ではないというのにとても綺麗な月だ。 そのかたわらにきらきらと輝く星がひとつ見える。
なんだか久しぶりに夜空を見上げたように思う。 「おなじひとつの空だよ」と誰かに伝えたくなる。
平穏ないちにちがそうして今日も暮れていく。 二人きりの生活にも少し慣れてきたのかもしれない。 夕食の支度がとても楽だ。酒の肴さえあれば良くって。 大相撲を見ながら一緒に日本酒を飲んだりもしている。
食後は気が抜けたようになる。もう誰も帰って来ない。 今日の家事はこれで終わりなんだなと一気に脱力する。
あんずに晩御飯をあげに行くと。ああ家族なんだなあと。 ついつい優しい言葉をかけてみたりもする。老犬とはいえ。 彼女はいつまでも我が家の末娘なのだ。よしよしと頭を撫でる。
ふたりきりではなかったのだとあらためて思ったことだった。
みんなみんなおなじひとつの空の下にいる。
サチコは彼の待っているアパートへ「ただいま」って帰るだろう。 独り暮らしの息子君はちゃんと晩御飯を食べてそろそろお風呂かな。
あのひとも元気でいるだろう。お疲れさまって空に向かって声をかけたい。
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