ずっと寒い日が続いていたものだから 今日の小春日和がなんと嬉しかったことか。
お布団を干す。窓を開け広げてお掃除をする。 サチコが居なくなった部屋で少しぼんやりとする。
「じゃあね。またね」とあっけなく巣立って行った。 昨日はとても名残惜しかったけれど待っていた日だ。 ぷつんと何かが切れるのではなく新しい何かが始まる。
その何かをこれから育てていくのだろうと漠然と思った。
28年間。私は娘に育ててもらったのだと思う。 いつも明るい陽射しを降り注いでくれたサチコ。 おかげで芽吹くように母の道を歩む事ができた。
授かったものはかけがえのないもの。このあたたかさを。 ずっと胸に抱きしめて大切にしながら母は老いていきたい。
覚悟はしていたけれどやはりどうしても寂しさが訪れる。 それを確かめるようにがらんどうの部屋を何度ものぞく。
置き去りにしてある夏服。ぬいぐるみ。ヘアピンまでも愛しい。
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