幸いにも台風の直撃を免れ思いがけないほどの青空になった。 被害を被ったところも多い事だろう。明日は我が身だと思う。
海苔の網を張る予定だったけれど川の濁りもあり中止になった。 かといって職場へは向かわず。そのまま仕事をさぼってしまう。
サチコがお休みだったから思い立つように今日の予定を組んだ。 とても強引だったと思う。けれども思いがけずに喜んでくれた。
ふたりで不動産屋へ行く。残念ながら例の『ハイソ』は成約済み。 ほんのひと足違いだったらしい。さあどうしましょうと頭を悩ます。 あれこれと他の物件を探していたら似たような条件のやつが見つかる。
さっそく見せてもらうことになりどきどきしながら現地へと向かった。 日当たり良好。窓を開け放すと風通しもよく新品のエアコンも付くらしい。 洋間だけでなく和室もあるのが良かった。サチコはベットが苦手だから。 台所も使いやすそうで気に入る。ベランダも広い。これは最高だと思う。
家賃は『ハイソ』より少し高いけれど「なんとかなるよ」と母は連発だ。 調子に乗って駐車場の料金は母がカンパしてあげるからと約束までした。
上機嫌のサチコがとても喜んではしゃいでいるのが何よりも嬉しかった。 母はまるで自分がそこに住むような気持ちになる。家具の置き場所やら。 すっかりその気になってしまって。サチコ以上にはしゃいでしまったのだ。 あとは彼氏のおっけいを貰うだけ。きっと気に入ってくれるだろうと思う。
夜になりしんみりとおもう。こうして手助けをしながら娘の背中を押している。
いざ送り出してしまったらどんなにか寂しいことだろうとその日がこわくなる。
けれども母は背中を押し続けるのだろう。それが母の使命のように思って。
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