嵐の前の静けさなのだろうか。ただ雨音だけがあたりを満たす。 海は随分と荒れているらしいけれど。海鳴りひとつ聴こえない。
かすかに鈴虫の声。それがいつもと変わらない穏やかさだった。
サチコの好きな鯖の味噌煮を作る。びんヨコのお刺身も添えて。 今日は魚尽くしだねと喜んでくれた。笑顔がとても嬉しかった。
ふたり揃ってのお休みがとれなくて少し苛立っているふうでもある。 手頃な賃貸マンションを見つけていても下見に行けないのだそうだ。
でしゃばりでお節介の母は外観だけでもと思い昨日ちらっと見に行く。 『ハイツ』のツの字が崩れていて『ハイソ』になっていたのだけれど。 それが笑いの種になり早速彼氏に報告していた。ハイソウナンですと。
母はきっと今後もでしゃばる事だろう。お節介だと怒られたっていい。
心配な事。不安な事もたくさんあるけれどそれはサチコも同じだと思う。 だからこそ母はどんとかまえていたいものだ。なんとかなるよと言って。
ここ数日は雨ばかりで散歩もお大師堂にも行けずにいる。 手を合わせて願い事をしないのが私流だったのだけれど。
どうかサチコを見守ってあげてくださいと今は手を合わせたい気持ちだ。
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