夏がそのありったけのちからを振り絞ったような残暑。 ちいさな秋を手招きしながらも誇らしげに微笑むように。
そんな夏の微笑みを心地よくおもう。好きだなと思った。
かと言って満喫するのでもなくずっと出不精のまま過ごす。 ぽつねんとしている。そこにいて感じられるものの気配や。 物憂げな時の過ごし方や。無意味としか言えない在りようや。
そうして日暮れ近くなるとむしょうに風に吹かれたくなるのだ。
土手の道を行くと川遊びをしている人達を見た。ボートみたいなもの。 あれは何と言う乗り物だろう。轟音を響かせて川面を走り抜けている。 とても爽快に見えた。怖そうだけれど一度あれに乗ってみたいと思う。
海のことも思い出した。10代を過ごした海辺の町のことが懐かしくなる。 大きなタイヤチューブを浮き輪にして友達が沖へと連れて行ってくれた。 足の着かない海は初めてだったからとても怖かったけれど楽しくもあった。 みんな泳ぎが上手だったな。カナヅチで泳げない私はみんなが頼もしかった。
私が海に浸かったのはあれが最後だと思う。ずいぶんと遠い昔になったものだ。
夕風に吹かれているとそんな懐かしさや。なんともいえない哀愁を感じる。
ふっと不思議に思うのは今まさに自分がここに存在しているということ。 ここに辿り着くまでのこれまでを思うと。なにもかもが運命のように思う。
終の棲家がある。縁深き家族がいる。私はながいながい旅をしてきたようだ。
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