| 2009年08月19日(水) |
ただひとつのことでいい |
浜木綿の実のなんと重たげなことだろう。 その重みに耐えかねて茎が折れてしまう。
日に日にその実が多くなり見るたびに心が痛む。 花はひとの姿に似ていた。実もまたそれに似て。 力尽きて地面に倒れてしまったかのように見える。
けれどもそうして生きている。それが運命のように。 なにもかも受け止めているのだとそっと呟くように。
夏が過ぎ秋が来てまた巡り来る季節の真っ只中にいて。 その花の生き様をこの目で確かめてみたいと強く思う。
浜木綿。この夏出会えた愛しき花。ありがたき花だった。
そうして今日もお大師堂を後にする。もう薄暗くなった道。 ひとりの少年に出会った。まるで鞭打つように走っている。 日焼けした顔。滝のような汗。これでもかこれでもかと走る。
「こんにちは」と声をかけてくれた。「えらいねぼく」と。 ほんとうに感心するくらい頑張っていたのだ。石段を往復。 坂道をダッシュ。そこには新鮮なエネルギーが満ちていた。
とても清々しい気持ちになり何度も振り向きながら家路に着く。
まだあどけない少年だけれど。若さはきらきらと輝いて見えた。
しみじみと失ったことを懐かしく思う。頑張っていたのだろうか。 あの頃の自分はこれほどまでにひとつのことをやり抜いただろうか。
10代のはるか遠い日を昨日のように思い出す。もう遅いのかもしれない。
けれどもただひとつのことでいい。やり抜いて遂げられることをしたい。
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