昨日から雨がたくさん降った。やまない雨はないけれど。 ふっと不安になるくらいの雨。そんな夜は心細くもなる。
今朝の静けさにほっとして窓から空を仰ぐ。青空が嬉しい。 けれども月曜日だと思うとにわかに憂鬱の風が吹き始めた。
さあネジはどこだろう。そこらへんに転がっているはずの。 ネジを捜す。めんどくさいなあってすごく思いながらいて。 それがないとぎくしゃくとしてうまく動き出せそうにない。
よかった見つかった。ここらへんかなとそれを取り付ける。 のらりくらりでも良いじゃないか。転んでも良いじゃないか。
山里へと動き出す。もうすっかり黄金色になった稲穂を見ながら。 民家の朝顔の花を見ながら。道路わきの水たまりを蹴散らしては。
「おはよう」の笑顔を交し合うと。ちょっとだけ清々しくなった。
ぜいたくだなと自分を思う。過酷な労働でもなく厳しい上司もいない。 営業もなければノルマもない。それなのにいったい何が不服なのだろう。 自然豊かな山里でいちにち机に向かって来客を待つ。電話のベルを待つ。 ただそれだけではないのか。こんなに楽な仕事がほかにあるのだろうか。
月曜日が憂鬱だなんて言ったりしたらバチが当たる。ありがたい職場だ。 特にトラブルもなく平穏ないちにち。この上ない事だとつくづく思った。
きっとものすごく怠け者になってしまったのだろう。ただそれだけの事。
そのくせ帰宅するととてもほっとする。肩の荷が下りたように楽になる。 なんだか一日中船に揺られていて。やっと岸に戻って来たような気持ち。
夕食後いつもの散歩。川面は思いのほか清らかでひたひたと静かな流れ。 はっと驚いたのはその岸辺に里芋の葉が見え随分と大きくなっていた事。 誰かが植えたとは思えず。上流から種芋が流れてきて根付いたのだろうか。 ほんとに不思議な里芋だった。台風が来なければ良いなあと見守っていたい。
お大師堂にはひとの気配はなく。そのかわり沢山の沢蟹がざわざわと動く。 近づくと一斉に逃げ出して行くのだけれど。その音がなんとも愉快だった。
お賽銭を忘れてしまい謝りながらしばし語り合う。最近独り言が癖になった。 今日はねこんな風でね。ああでねこうだったよなんて独りしゃべっている。
おお、そうかそうか。そんな声が聴こえるような気がしてならないのだった。
「ありがとうございました」深々と頭をさげて手を合わして。またあした。
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