海が荒れているせいだろう海鳴りが絶え間なく耳に響いている。
ふつか続けての雨だった。ずっと夏日だったせいでそれは冷たく。 感じられたけれど。田畑には恵みの雨となり随分と潤ったようだ。
そんな雨も夕方になるとやみ。またてくてくと川辺の道を歩いた。 いつもなら夕陽の頃。川は湖のように静まり深く水を湛えている。
ひたひたと水の音。濡れた夏草。空は心細いほど薄暗くひろがる。
お大師堂に着くなり。竹薮の細道を歩いて来るお遍路さんに会う。 雨ですっかり濡れていたのが。やっと乾いたところですと言って。 重たそうな荷物を下ろす。半袖のTシャツと日焼けした腕と顔が。 どんな日もありますねと言い表すように。ほっと微笑んでくれた。
ゆっくりと話も出来ないまま後ろ髪をひかれるように家路に着く。 どんなにかお風呂に入りたいことだろう。思っても何もできない。
自分はゆったりと湯船に浸かりながら。そのひとのことを想った。 心苦しさを言えばきりがないことだけれど。ただただ申し訳ない。
そうして今日をおもう。身勝手さや我侭は母と一緒に居るせいかも。 他人ならば我慢もするだろう。不服も言わず仕事に精を出すだろう。 それが仕事だと割り切る事をするだろう。ワタシハコドモノヨウダ。
日に日にそれを実感する。今日は50点。明日は60点になりたい。
海鳴りを聴いていると。ここがここではないような遠い場所に思える。 母とともに暮らせずにいた少女時代に。もしも傷ついていたのならば。 海が癒してくれたことだろう。荒波がすべてを流してくれたことだろう。
ここはいったいどこだろう。わたしはまだこどものままなのだろうか。
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