| 2009年05月19日(火) |
思えば遠くに来たものだ |
曇りのち晴れ。初夏らしく南風の吹くいちにち。 海が近いせいだろうかふっと潮の香が匂ってくる。
そんな南風のことを『沖の風』と呼ぶ。 ここに嫁いできて初めて知った言葉だった。
少女時代を過ごした海辺の町では何と呼んでいたのだろう。 あまりにも近くにあった海は。海としか呼べず風としか呼べない。 多感だったあの頃。恋しい人のように思って潮風に吹かれていた。
思えば遠くに来たものだ。そんな言葉がいまはとてもふさわしい。
仕事。今日は山里の職場に行かなかった。 行くべきだったのだろうけれどそれをせずにいて。 夫である彼の手伝いをすることに決めていた。 ちょっとした力仕事。身体がとても喜ぶのを感じ。 やはり私には肉体労働がいちばんなのだと思った。 どんなに疲れてもそのほうがいい。我侭だろうか。 身勝手だろうか。明日もそんな仕事があればと願う。
姑さんが畑仕事をしてみないかと言う。考えている。 鍬ひとつ使えない私にそれが出来るのだろうか不安。 彼は反対している。お前に出来るはずがないと言う。 私は迷っている。ああどうすればいいのだろうか・・。
夕暮れ散歩。とても立派なカメラを持った人に出会う。 夕陽の写真ばかりを撮っているそうで少し語り合った。 真っ赤な夕陽の話をした。今日は無理。紅くはならない。 雨の匂いがする日でないとそんな夕陽には会えないのだ。
ああまた知ったかぶりな話をしてしまった。反省しつつも。 ちょっと鼻高になっている自分に酔った。ばかみたいな私。
わぁコスモス。とぼとぼと帰り道に早過ぎるコスモスを見つける。 もうそれは世界中に叫びたいほどびっくりとして嬉しくてならず。
川岸に続く石段の隙間からそれはまるで雑草のように咲いている。
たった独りで。この夏の初めにぽつねんと存在する一輪の花だった。
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