| 2008年12月03日(水) |
おてんとうさまがぬくぬく。 |
穏やかさを抱くようにしながら。今夜も三日月の空を仰いでいる。 月の光は十字架のように見えて。雫の星は紅色を帯び輝いている。
師も走る頃というけれど。とりたてて急くこともなく時が流れた。 そんないちにちをそっと織るように。とりとめもなくこれを記す。
昼間。仕事中ではあったけれど近所に住む老女と少しだけ語り合った。 山里の所々には役場が備え置いたベンチがあり。そのひとつがきのう。 うちの職場の側にお引越しをしてきたのだった。木製の古い物だけれど。 工場の壁際のいちばん陽当たりの良い場所にそれを据えることになった。
いちばん喜んだのはそのおばあちゃんで。今日もにこにこ笑顔で日向ぼっこ。 いつも独りぼっち。少し認知症でもあり毎晩とっくの昔に亡くなった夫の 帰りを待っているのだそうだ。ご飯をたくさん炊いて「遅いね・・」と呟きながら。
どうしようもなく呆けていると皆言うけれど。私にはそれがせつなくてならない。 夕暮れは孤独だ。夜更ければもっと孤独だ。待ってはいけないなどとどうしていえよう。
そんなおばあちゃんと語り合う。つかの間ではあったけれど私も一緒に日向ぼっこ。
「おてんとうさまがぬくぬくよ」と彼女が微笑む。お遍路さんも会釈をしてくれる。 その道を通り過ぎて行く人が皆。にっこりと笑顔になり話し掛けてもくれるそうだ。
「ここは天国じゃね」と「ありがたいところやね」とほんとに嬉しそうに話してくれた。
一緒にいるだけでぬくもりを感じる。まるで猫を膝に抱きうつろうつろしているよう。
老いることはたしかにせつない。けれどもこんなふうに老いられたらどんなにいいだろう。 私だって呆けるかもしれない。そうしてずっとずっと誰かを待っているかもしれない。
けっして叶いはしないこと。受け止めなくてはいけないことがあるのだとしても。 最後の最期まで待ちわびるような人生でありたい。それは欲望でも願いでもなく。
縁を織りいちまいの布にするくらいの心意気で。その布を纏って旅立てるようになりたい。
PS:きのうの老犬あんずのひとこま。臆病なくせに崖っぷちが好きなのです。 そういうところが飼い主によく似ています(笑)
|