| 2008年11月17日(月) |
そっと息を吹き込んであげればいい |
雀がちゅんでいちにちがはじまる。朝の青空は気持ちよくて。 いつだってそれが一歩のように踏み出せたらいいなあと思う。
ふたつのカタチがあって。お互いが問いかけあっているのがわかる。 ひとつは紙風船みたいにまるくて。ひとつはとんがり帽子のようだった。
紙風船を手のひらにのせてぽぽんと。上手くは宙に浮かせてあげられない。 とんがり帽子は似合わなくて。鏡の前でいくら澄ましてみても歪んで見える。
だからどちらも置いていく。たぶんそれは今ひつようではないものなのだ。
いつもの山道。峠道に差し掛かる前の集落に。毎朝仰ぎ見る銀杏の木がある。 金曜の朝に見た時にはまだ淡く黄緑が残っていたのが。今朝は驚くほどに。 黄金色になっていた。すっかり心を奪われてしまい思わずブレーキを踏む。
日に日に散ってしまうのだ。雨が降って風が吹けば一気にそれは散ってしまう。 そうして地面を一面に染めるその色に埋もれるように。裸の木がぽつねんと在る。
そんな光景をくりかえしなんどもみながら。季節がまた巡りきたことを知った。
もう何年も写真に撮ってあげられずにいたから。今年こそはと道に降り立つ。 するとその少し狭くなった道を。一台の乗用車が山道を上って来たものだから。 自分のクルマが邪魔をしやしないかと。謝るつもりで頭をさげていたところ。
「だいじょうぶですか?クルマ故障したのですか?」と声をかけてくれたのだった。
名古屋ナンバーのその乗用車には。なんと白装束を着たお遍路さんが乗っていた。 普通ならこんなところにクルマを停めて。人様に迷惑をかけてしまうところを。 もちろん故障ではないけれど。気にかけてくれて優しく訊ねてくれたのが嬉しかった。
ひとってあたたかいな。気恥ずかしさもあったけれど一気に胸が熱くなった。
そんな朝のつかのまのふれあいがあり。ふと気づけば置いてきぼりにしたはずの。 紙風船がそこにある。こころのなかでぽぽんとぽぽんと跳ねているのがわかる。
手のひらがつかれたらおやすみすればいい。そうして胸に抱いていればいい。
抱きしめすぎてしぼんだら。そっと息を吹き込んであげればいい。
夕陽の散歩道ではこんな木の実にあいました。
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