9月も残り少なくなったけれど。日中は蝉の声。 残暑と言っていいのだろうか蒸し暑い一日だった。
見渡せば確実に秋らしく。山々の色も変わりつつある。 山道にいが栗が転がっていたり。おっとっとと避けて。 感じる秋もあった。雑草もずいぶんとたくましくなり。 穂の咲くものは花らしく風に身を任せているのだった。
昼休み。洗車場の屋根の下でクルマのドアを開け広げ。 好きな作家の短編小説などを。いちにち一編読んでいる。 時には声を出して音読する日もあって。そうしていると。 声が震えるくらいによけいにぐっと感動することもあった。
『こんなことを言ってもだれも理解できないだろうけれど』
読み終わって心地よい風に吹かれている時。そんな言葉が。 どこからともなくあたまに浮かんできては。物語が始まる。
つらつらと書いている。後からあとから文章が浮かんでくる。 捕まえなくちゃと思う。そうしてノートとペンを急ぎ取るが。
いざノートを開くと。それが逃げるように風に散っていくのだった。 所詮それは妄想だったかのように。忽然といなくなってしまうもの。
あーあとつぶやく。かたちにできないものがそうして潔く去っていく。
かたち。かたちって。いつだって掴みどころのないものかもしれない。
これまでどれほどのかたちに拘りつづけてきたのだろうと。ふっと思う。
それは目に見えるものでなくてはいけなくて。触れられるものであって。
しっかりと確かめられるものでなくてはいけないのだろうか?
ことば。ひと。しんじつ。まごころ。ゆうき。こころ。いのち。じぶん。
言葉に出来ないことで。いっぱいになりながら私は満たされていたかった。
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