| 2008年09月23日(火) |
母さんのこれがすべて |
ふと思いついて自室の押入れを整理する。 いつかそのうちにと思いながら歳月とは。
いつだって急ぎ足で先へと進みたがるのだろう。 押入れはまるでタイムカプセルそのものだった。
「どういう風の吹き回し?」とサチコがおどろく。 「ちょっと身辺整理よ」と笑って告げる母だった。
笑顔のままで不安がる。どうしてそれが今なのか。 今でなくてはいけない理由があるのかもしれない。
そんなことを考え出したらいつもきりがなくて。 けれども確かに身辺整理は必要だと思うのだった。
小箱のふたをそっとあける。30年前の手紙が見つかる。 旧姓の私にと。高校時代の友人から送られた手紙だった。 若気の至りでずいぶんと迷惑をかけてしまった友人のこと。 何ひとつ恩返しも出来ずに。こんなにも歳月が流れてしまった。
会えるものならあいたいな・・と思う。どうか元気でいて欲しい。
大好きだったおばあちゃんからの手紙も見つかる。記憶になくて。 それが何通もあったのに感極まる。お茶目なおばあちゃんだった。 「ガンバラナクチャア」って片仮名で書いている一言が嬉しくて。 読み返しながらひっくひっくと涙がとまらなくなってしまった・・。
もしや父の手紙も。そう思って探してみたけれど。それはなかった。 そうそう父はいつも電話だったっけ。「変わりないか?」と優しく。 会うことは叶わなくても。子供達のこともずっと気遣ってくれたのだ。
どんなにか孫に会いたかったことだろう。許してよねお父ちゃん・・。
秋分の日・・・亡くなったひとたちが愛しくてならない日だった。
わたしの身辺整理は何ひとつ捨てるものがない。 宝物のように残しておきたいもので溢れていた。
それを見つけやすいように奥から手前へと整理する。 きっとサチコが気づいてくれるだろうそんな場所だった。
手紙。写真。ながねん書き綴ったもの。なんだか母さんのこれがすべて。
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