台風がゆっくりと近づいているけれど。 いまは風もなく。ただしとしと雨の夜。
こころの中はすっかり台風になっていて。 明日は仕事に行けないな。行かないよと。 もう決めていてくつろいでいたのだけれど。
天気図を見たら。少し海よりのコースに変わっていた。 直撃はなさそうでほっとしながら。仕事は嫌だなと思う。
今朝もまた自転車のお遍路さんに会った。 昨日は雨に濡れながら国道を走っていて。 今日はちゃんと雨合羽を着ていてほっとする。 ちょうど峠道に差し掛かる山道でのことだった。
おなじお遍路さんに二度会えるのは嬉しいなと思う。 昨日は足摺岬を目指していたのだろう。そうして。 今朝はずいぶんと暗いうちから宿を出たのだと思う。
明日もそうして順調に旅立たせてあげたいものだ。 うん。だからなのだ。台風は海へ海へ行ってほしい。
そんなふうに願っていたら。ああじぶんいけないなあって。 たかが仕事ぐらいでぐずぐず言っていたらバチが当たりそう。
ふっと。私もいちどお遍路の旅に出てみたらどうだろうと思う。 きっとすぐにくたばるだろう。甘っちょろく弱音ばかり吐いて。 もう駄目。もう死にそうとか嘆いて。助けを呼んだりするかも。
おもしろいじゃないか。そういう目にとことんあわせてあげよう。
背中に重い荷物を括り付けてあげよう。携帯電話は取り上げよう。
わずかばかりのお金は持たせてあげても良いが。足らなくなったら。
どこででも野宿して。草を食べて歩いていくがいい。さあ行くのだ。
そうすれば。きっと見つかる。じぶんさがしの旅だったと気づくだろう。
いまは。いろんなことに迷い続けている。 信念のように思っていた事さえも揺らぎ続け。 自問自答の渦の中にどっぷりと浸かっているように思う。
わたしはもっともっとじぶんを知りたくてならない・・・。
雑草のような強さ。その根を包み込む土のあたたかさ。
そんなふうに生きたいと願っても願いきれないほどの日々がそこにある。
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