しずくのような雨がここちよくふる。
雨音にこだまするように濡れた心で。
遠い日のことをずいぶんと思い出す。
記憶はいつか消えてなくなるなんて。
どうして信じることなどできようか。
日がな一日。そんな雨をありがたくうけとめて過ごす。 たしかに自分なのだけれど。じぶんではないような私。
やわらかなものがあふれるようにそこらじゅうに満ちている。 それがどんなにか求め過ぎたこころを救ってくれたことだろう。
じゅうぶんなのだと私は思う。身に余ることだとさえ思うのだった。
さあいこう。ここからまた歩もう。いけるところまでいこう。
いまはばくぜんとしながらそんなじぶんと向き合っている夜だった。
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