| 2008年08月13日(水) |
ほんとにおまえは困った子だなあ。 |
迎え火を焚き手を合わす。そうして今年も行けそうにない弟の家に電話する。
私には実家というものがなく。父の供養はすべて弟夫婦に任せっきりだった。 けれども父はずっと我が家にいる。なんとなくそう感じる毎日でもあった。
私の部屋に居るのだ。だから出掛ける時はいつも部屋のドアを開けて行く。 そうしたら父は台所だって茶の間だって行ける。庭に出て犬と戯れることも。
そうして私が部屋にこもる時間には。そっと私の後ろに居てくれるのだ。 そう感じる。決して成仏していないのではなくて、たぶんここが好きなのだ。
おお書いてるな。おおまた飲んでるな。ほんとにおまえは困った子だなあ。
って。いまお父ちゃんが言った。今夜はしっかりと聞こえる。けれども。 昔みたいにそっとしておいて。ずっとはらはらしながら私を見ているのだ。
親不孝な娘だった。いっつも心配ばかりかけて。どんなにか情けない思いを させてしまったことだろう。それなのに叱りもしないで打つこともしないで。
どうなるんだろうこの子は。なにをしでかすのだろうっていつも気をもんでた。
それが精一杯の愛情だったことにきづいたのは。ずっとずっと後のことだったのだ。
一緒に暮らした歳月よりも離れた歳月のほうが多くなる。そのながい歳月のうち。 父に会ったのはただ一度きりだった。その数日後父はあっけなくこの世を去った。
だから今は一緒に暮らしている。どうしてもそう思いたくてならない私がいる。 お父ちゃんは相変わらずはらはらしながら。ずっとずっと私を見ている気がする。
だってほらいま後ろで笑った。おまえたまにはいいこと書くなあって声が聞こえた。
お父ちゃん。お盆のあいだはもっと堂々としていていいんだよ。
ここお父ちゃんの家だから。いっぱいくつろいで。今夜は一緒に飲もうよね。
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