| 2008年07月14日(月) |
このほんわかが崩れないようにそっと。 |
職場で飼っているメダカに赤ちゃんがいっぱい生まれた。
らしい。ほら見てごらんって言われたけど。見なくって。
いちにちが終わる。肩を寄せ合って一緒に見るのって。
なんだか照れくさい。感動しないのねって彼女が言う。
それもなんだかむっとして。だから見たくても見ない。
けれど。いちにちじゅうほんわか。だって彼女は仕事を。
しない。ほぼ一日中。メダカの赤ちゃんばかり見ている。
なにかに憑かれたかのように。心配なくらい夢中になる。
声をかけてもうわの空。こんな彼女を見たのは初めてだ。
そっとしておく。このほんわかが崩れないようにそっと。
もしかしたらこれがほんとうの彼女なのかもしれないと。
ふっと思う。それはなんだか懐かしい。母の匂いがする。
とてもせつない。このせつなさはどこから来るのだろう。
もう帰るね。そう声をかけたけれど。顔をあげずにいて。
母はずっとずっとメダカのそばにいた。小さくて丸い背中。
まるで自分が生んだ子供のように愛しそうに見つめている。
やっぱ母さんだよねって思う。母さんだったんだって思う。
あした。肩寄せあって一緒に見ようね。ゆびきりげんまん。
|