| 2008年06月19日(木) |
こぼさないように。なくさないように。 |
梅雨らしくぽつりぽつり降っていた雨が。つかの間どしゃ降りの雨になる。 ちょうど仕事を終えての帰り道。牧場のそばの道を通過している時だった。
透明の雨合羽を着たお遍路さんが。歩道をぐんぐんと走っているのを見た。 それは駆け足というのではなく。なんというかまるでマラソン選手のように。
歩道の脇にはちゃんと屋根のある休憩所がある。なのに雨宿りするでもなく。 とにかく俺は行くんだとばかりに急いでいる。それはとても勇ましくも見え。 なんだかはらはらと気遣わずにはいられない姿でもあった。どうして? そんな声などかけられるはずもないほど。雨が地面を叩きつけていた。
複雑な心苦しさを抱えたまま。仕方なくその姿をゆっくり追い越して行く。
そうして垣間見たのは。顔かたちではなく。日焼けした逞しい足だった。 私はそれを一度も見たことがないが。カモシカのような足に違いなかった。
その足を見ただけで。ああ青年なのだなとほっとする。もしかしたら。 このひとは日頃からずっと走り込んでいるのかもしれない。雨の日も。 向かい風の強い日も。走り続けることで成し遂げている何かがあるのかも。
しれない。いやわからないけれど。勝手にそう決め付けてしまいたかった。
どしゃ降りの雨さえも清々しく感じたひと時。何かが満ち溢れてくるのを。 こぼさないようになくさないようにと思いながら。私も雨の道を帰って行った。
彼は明日も走るのかもしれない。だけど何ひとつ急ぐことはないのだろう。
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