| 2008年04月15日(火) |
なんだか風のような子 |
もう鯉のぼりの季節らしい。青空と新緑に気持ちよく風になびく。
かつて我が家にもそんな頃があった。抱っこして指さして空を仰ぐ。
ずっしりと重かったその子が。初めて歩いた初夏。母はとても嬉しかった。
その子がこの前ちょっと久しぶりに帰って来た。 ちょっと痩せたかなと思う。ご飯ちゃんと食べているのかしら。
仕事どう?って訊くと。まあまあかなってこたえる。 職種は変わっても。思ったほど楽ではなさそうだ。 でも根掘り葉掘りは訊かない。そのままそっとしておく。
晩ご飯食べてく?って訊くと。ああうん、そうしようかな。 ちょっと待ってね。10分くらい母さん休みたいからって。 少し横になっていたら。お風呂洗ってあげようって言って。
ジーパンまくって行った。水の音がきこえる。ああ洗ってる。 こんなの初めてだ。あの子がお風呂を洗う音。なんか嬉しい。
我が家でいちばん大きなお鍋を出して。『讃岐うどん』を湯掻く。 丸亀のお友達が送って来てくれたんだよって。自慢げな母の傍ら。 その子は菜ばしを持って鍋とにらめっこ。あと1分だな。なんて。 そうして湯掻き具合を見てる。菜ばしで一すじはさんで確かめる。
さあもういいぞ。どんぶりだ卵だ。おまえは早く葱を切れよって。 母のことおまえって言うなとか言いながら。せっせと葱を刻んだ。
6人分をサチコの分だけ残して。あとは三人で平らげる。熱々の。 こしこしのつるつる。うっすらと汗をかきながら。ああ旨いなあ。
そしてあっけなく帰る。クルマだからビール飲めないもんなあって。
かえる。またいつでも来いよって。その背中に父が声をかけている。 母もそう言いたかったのに。急いでる。だからちゃんと言えなかった。
なんだか風のような子。つかのまのことを思いながらお風呂に浸かる。 脱衣所の棚には。用意しておいたパンツがそのまま置いてあった。 汚れたのをそのまま穿いて帰ったのらしい。はっと胸が熱くなる。
母が毎朝洗濯するの。ちょっとでも増やしたらいけないとか・・。 思ったのかもしれない。そんなことないのに。だいじょぶなのに。
幼い頃。母の日に。学校で書いた手紙のことを思い出した。
「おかあさん。まいにちせんたくありがとう」って。書いてたなあ。
あの子。
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