| 2007年10月12日(金) |
川辺のなかまたちのこと |
せいたかあわだち草の咲く頃。彼女は彼かもしれないけれど。 あまりひとには愛されなくて。切り倒されて焼かれる時だって。 ある。けれどひとを恨みはしない。少なくとも私はそう信じる。
花粉かふんとひとは言う。そのことで少しは心を痛めているだろう。 けれど。花粉を失くしてしまうことはできない。それが命なのだと。 主張するのでもない。それは生きているから。そうあらねばならず。
誰がなんと言おうと。わたしはぼくは。せいたかあわだち草だから。
ススキの穂。野菊の花。川辺で寄り添って。わたしはぼくもいて。 晴れた日には晴れた日のことを語り合った。爽やかな風だねって。
ススキ君がまるで自分が風みたいに。誇らしげに言うものだから。 野菊さんが。くすくすって可笑しそうに笑う。わたしはぼくもだ。 おなじ風に吹かれるってなんか幸せだなって。言ってみたくなる。
実はススキ君はちょっと負けず嫌いで。わたしはぼくものことを。 今はちょっと俺が勝ってるなって自慢したくてならないのだけど。 せいたかあわだち草なんだもん。そのうち負けるのかなって不安。
だけど野菊さんは。あまりそういう外見とかに拘らないひとだから。 それぞれのいいところをちゃんと知っていて。いつだってやさしい。
ススキ君は。野菊さんのことが好き。自分だけのひとならなって思う。 だけど。どうしてもそれを言葉に出来ない。ゆれてゆらぎながらいて。 そっと野菊さんを包み込んであげることしかできない。そのことを。
わたしはぼくも知っている。だってこの野原にずっと一緒なんだもの。
ススキ君は。やがて枯れる。そうしてやがて緑にだってなれる。
野菊さんは。やがて散る。桜のように潔くありたいと願いながら。
わたしはぼくは。老いていく。粉になった子供の事を想いながら。
みんないまは。せいいっぱいに生きている。
そんな川辺に。夕陽が希望みたいに。ぽっかりとうかんでいるのをみた。
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