| 2007年07月26日(木) |
あした。あさって。ずっと。(8) |
朝に夕にふっと風の変化を感じる。それは忘れていたことを耳打ちするかのように。 不自然ではなくより添うようにしながら共存をしたがる。揺れる影のようなものに似て。
もう秋なのかもしれないと私は思った。 けれど誰もそこに線などひかないのだ。ここまでとかここからとか。だから。 私にだってそれは区別できない。ただここだからそこからへといかねばならない。
気がつけば『死ねない』とはそれほど重要なことではないように思えた。 かといって『死なない』こともそれほど大切なことにも思えずにいたのだ。
うすぼんやりとしていた。あたまとかこころとかどんなふうで何を考えて。 なにを行動すればいいのかよく理解できず。ぐるぐると渦みたいな世界にいた。
友達はどうしてみんな笑い合っているのだろう。みんな楽しそうな笑顔で。 頼みもしないのにレコードを貸してくれたり。漫画を見せてくれたりしては。 ひどくおせっかいに思える時もあったし。逃げてしまいたいと思う時もあった。
わたしの殻は固くて。どうしようもなく固くてならない。おまけにいびつで。 割れ損ないのヒビだってある。いつまでもそのヒビに拘っているようにも思う。
けっきょくわたしはそのヒビが好きなのだ。もしかしたら誇らしいのかもしれない。 悲劇ぶって。とことんそのヒロインを演じていたいと思っていたのかもしれない。
ある時。「これ読んでみたら」って一冊のノートが私の手元にまわってきた。 誰かが始めた交換日記のようなもので。もう何人かがいろんなことを書いていた。 日付だけで名前はない。誰かが雄叫びのような声を書けば。誰かが宥めている。 筆跡を隠すためなのか左手で書いたような字もあった。悩みもあれば辛いことも。
なんだかふっとこころがかるくなる。そこはとてもあたたかいもので満ちていた。
そうして回し読みしているうちに誰かがそっと机に隠す。そして誰かがカバンに入れる。
だから。わたしもカバンに入れた。とにかくそうして家に帰りたかったのだ。
私はわたしを隠さなかった。隠す必要はないと思ったのかよくわからない。 隠せやしないと諦めていたのとも違う。私はわたしに同情して欲しかったのかも。 しれない。
それは今おもえば。ほんとうに愚かなことだ。
けれどその愚かさがなければ。わたしは前へ進めなかった・・・。
季節が変るように。私も変らなければならない。
わたしはもう夏ではない。
・・・つづく・・・
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