| 2007年07月10日(火) |
あした。あさって。ずっと。(4) |
わたしはおそらく。夢をみるのがとても得意で。それはときには現実にもなって。 わたしというひとをわたしににせて。わたしというひとをそこに描こうともする。
しらいし君のバイクのうしろで。そこから振り落とされまいとしがみつきながら。 鏡川を渡る橋の道をあちら側へと突っ切って走った。潮のにおいのする風のなか。
鏡川は。かつては鏡のように透き通った川だったらしい。 よくは知らない。どうしてかって。私はそんな鏡の水を見たことがなかったから。
かといってそこにどれほど汚れたものが渦巻きながら澱みながら。つつと流れて。 いるのかも知らなかった。知らないほうがいいこと。見なければそれで済むこと。 そういうことがそこにはきっと溢れていたのかもしれなかった。ごく自然にそこに。
微笑んでいたように思う。たしかにその日。彼はすこしはにかんだ顔をしながら。 たったひとつの宝物をそっと差し出すように。私のてのひらにのせてくれたのだ。
言葉は風がさらっていった。さらわれた言葉はもがきもせずに空にとけていった。
みちは遠いほどいい。どんなにかそう願ったことだろう。どこまでもはるかに道なら。
「じゃあね・・」って言う。「またね・・」って言わない。またぷつんと何かが切れた。
そこは何処だったのだろう。私はどうしても思い出せないでいる。 そこから歩いた。ひとりで歩いた。道はたしかにそこにあったのだから。
その夏は誰かの息でくもってしまった鏡のなかの不確かな出来事のように。
それが幻みたいに現れては消える。夢ではないことを確かめるようにぎゅっと。
私は。くちびるをつよくかんだ。
・・・・つづく・・・・
|