| 2007年07月05日(木) |
あした。あさって。ずっと。(2) |
それはずいぶんと昔のことで。もちろん携帯電話もパソコンもない時代だった。
その『むかし』という時間は。ひどく遠くとてもはるかな時のいちぶぶんとして。 消えてしまったものなのか。うしなってしまったものなのか。私にはわからない。
ただいえるのは鮮やかなのだ。鮮やか過ぎるくらい今もある時のカタチなのだ。
夏休みは気がくるってしまいそうなくらいさびしかった。 寝ても覚めても。しらいし君のことばかり考えていた。 どこかで待っていれば会える。そんな保証のようなものが欲しくてならない。
私はあてもなく町に出る。本屋さんに行く。レコード店に行く。 いつかの喫茶店にも行く。もしやと学校の裏門もくぐってみる。
どこにもいない。そのことがとても重くてとても辛くてならなかった。
私は青いバイクをさがす。校則で禁じられているおっきなバイクのことを。 西から東へ。東から西へ。もしかしたらこの道を走り抜けるかもしれない。
だけど。いない。どうしてもいない。しらいし君はどこにいったのだろう。
隣町に行けば見つかるかもしれなかった。その町のどこかに彼の家があるのだ。 それはどこなのだろう。どこをどう歩けばその家に行けるのだろう。なんだか。 とても迷路だった。シラナイということはほんとうに情けないほど悲しいことだ。
そうして毎晩手紙を書いた。あいたいあいたいあいたいとなんども続けて書いた。
だけど。いない。その手紙を受け取ってくれるひとがどこにもいない。 その手紙をどこに出せばいいのかさえ。知らないのだから救いようもない。
わたしは絶望的だった。わたしほど悲しいひとはいないと。私は信じていた。
・・・・つづく・・・・・
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