梅雨のさなかの青空。立葵はその名を誇るかのように立っている。 しっかりと空に向かって。いくつもの蕾を我が子のように支えながら。 鮮やかに。いきいきと咲いている。それは本当にはっとするほど美しい花だ。
先日から。いやそれはほんとうはずっともっと前からかもしれないけれど。 私は例の青年のことでひどく悩んでいたのだと思う。喧嘩みたいな事があり。 その時あまりにも決定的なことを。彼にとっては衝撃的なことを告げたのに。
ちがいない。きっと彼は泣いただろう。悔しくてならなくて泣いただろう。 そう思うと。やはり私の確信というものは脆くなり。心がどんどん痛くなった。
そのくせこれくらいのことでへこたれるな。私になんか負けるんじゃないと。 すごくすごく願った。憎んでもいいから強く。つよく歩みだして欲しくてならない。
優しくしてあげたかった。宥めてあげたかった。ぎゅっとしてあげたいくらいに。 だけど。踏み出せないのはむしろ私であるかのように。私はもう限界に近くなり。
逃げてしまいたくなった。そんな自分がとても情けなくてならなかったけれど。 たくさんの葛藤や。たくさんの途惑いに。たくさんの涙が出るくらい辛くてならず。
とうとう昨日。救いを求めてしまった。彼女ならきっと受止めてくれると思った。 私はいつも彼に厳しかったけれど。彼女はほんとうにいつも彼に優しかったから。
「わかっているよ」と彼女は言ってくれた。すごくすごくわかっているからって。
「だいじょうぶ、わたしにまかせて」って。その言葉にどれほど救われたかしれない。
私のこころはずいぶんと楽になった。けれど彼が。彼こそが救われなければいけない。 私から受けたこの上なく痛いムチを。彼がその核心に触れたのかどうなのかさえ。 いまは何もわからないけれど。とにかく彼を楽にしてあげてくれることを願うばかり。
彼はいつまでも溶けてなくならない飴を欲しがっているのかもしれない。 人生は飴ばかりでなくてはならないと。もしかしたら思い込んでいるのかもしれない。
彼の主張する権利を私は尊重できずにいて。それを覆すことに臨んだのだろうか。 間違っていたのかもしれない。だけど飴ばかりの人生なんて在り得ないと私は思う。
彼は車椅子に頼らなくても歩けるのだ。右手が使えなくても強い左手があるのだ。 頑張り屋さんで負けず嫌いで。向上心は人並み以上にあり。いつだって挑戦者なのだ。
だからこそ自立出来る可能性がとてもおおきい。
そのおおきさに。私はかけている。彼の未来に私はあいたくてならない。
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