| 2007年06月19日(火) |
いるいるいるいると鳴くひと |
雨がときどきひどく降ってはやみ。雷も近くなったり遠くなったりだった。 そうしてときどきホトトギスの声する。そうしてカエルも負けずに鳴いた。
梅雨らしさのなかにそうしていると。ほんの少しは気が滅入るものだけれど。 なんだか。あれこれと思い煩うのも。雨にけむるようにぼんやりとしてくる。
それよりも紫陽花にこころひかれたり。草原のような田んぼにこころが向かう。 牧場では牛たちが牛舎から解き放される時間だった。雨に濡れる事など少しも。 苦にはならないふうで。お母さん牛に寄り添うように子牛が満足そうに草を食む。
ふと牛になりたくもある。わたしはとても欲張りだから猫にだってなりたくて。 鳥にだってなりたくて。お花にもなりたいし。道端の石ころや雑草にもなりたい。
みんなみんな傘をささない。たとえ雨に弱くても。傘など持っていないのだから。
そういうのがなんか好きだなって思う。『持たない』ということにだけれど。 それは。もしかしたら欲しいのかもしれない。でも持てないのではなくして。 持たないところが好きなのだ。あるいみそれは『いらない』とよく似ている。
そうしてわたしはまた考える。『いらない』についてふかくふかく思ってみる。 雨にけむったぼんやりのなかで。見つけたくてたまらないアノヒトの姿みたいに。
けっきょくなんだ。それはどんなに思っても『いらない』にはなれなかった。 いるいるいるいるの。それがどんな色なのか見分けのつかない混ざり合った絵。
その絵を破ってしまうことができない。その絵を燃やす事もできないのだった。
いるいるいるいると鳴く。わたしは鳥でもなく牛でもなく猫でもなく。 鳴くことすらできない花でも石ころでも雑草でもなかった・・・・・。
わたしは『ひと』だから。いるいるいるいるといつまでも鳴いていることだろう。
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