トッテカケタカ。とってかけたかと鳴く鳥の声が聴こえてきて。 その鳥の名を忘れてしまったものだから。ネットで検索などしてみたところ。
一年前の自分の日記を見つけた。ほととぎすの声だったんだ。ありがとう私。
そうしてそこで発見した自分らしいじぶん。なんだかすごく気ままなじぶん。 懐かしいような。恋しいような。書くということにちっとも拘っていなくて。
ふっと大切なことに気付いたように思った。私はもしかしてプライドみたいな。 なくてもいいものに執着していたのでないか。このいちねんでそれが育ってしまい。
生真面目に。綺麗に。なんとか文章を書き上げようと日々そればかりにあがいて。 脱線を恐れていたのに違いない。こんな駄文なんか。こんなもの私らしくないと。
それこそがちっぽけなプライドというものだ。今こそ思い知りなさいわたし!!
初心にかえろうと思う。いや、むしろかえりたくてたまらない。
酔っ払ってへろへろしたり。愚痴も言ったり。泣き言も言ったりしたいのだ。
ありのままのじぶん。いまいちばんあいたいのは。他の誰でもない『わたし』
あってくれますか?ねえ・・わたし。

夕方。サチコがぜえぜえ言いながら柏島から帰って来た。 いきなり船で沖に出たそうだ。そしてほんのつかの間の呼吸の練習のあと。 重いボンベを背負って。後ろ向きに海にドボンしたのだそうだ。
鼻で息をしてはいけないのを。ついしてしまって泡がぶくぶく出たらしい。 サチコは一瞬パニックになったと言う。まるで過呼吸の時みたいだったらしく。 こんな海中に紙袋はないしと思うと、ますますパニックになったそうだ。
こわいよ。あれはほんとにこわいよと。それは切実な眼で一部始終を語ってくれた。
でもね。ほんのつかの間だったけれど、綺麗なサンゴが見れたらしい。 ちっちゃなお魚もいっぱいいたよって。その時の目はキラキラと嬉しそう。
だけど。もう二度と挑戦はしないと言う。母さんもやめといたほうがいいよとか。
うん・・母もこわいからそれはいい。海は好きだけど海はとてつもなく深いから。 ちょこっと夢を見ているだけがいい。サンゴのことやお魚のことや目に浮かべて。
サチコがやってくれたから。なんだか母もドボンしたような気持ちなんだ。
もう死ぬかと思ったって。そういうとこやっぱ似ているなって思う。
ありがとねサチコ。えらかったねサチコ。
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