いまは夕暮間近。空は茜色に染まってはくれずに。獣みたいな雲が三匹もいる。 どんな日もある。こんな日もきちんといちにちが。もう少しで夜が降ってくる。
サチコの帰りを待っている。トンカツにラップをかけて待っている。 なんだか今日は無性に親子漫才をしたい。ふざけあってどついたりして。 けらけらとおなかを抱えて笑いたい。そうして笑いすぎて泣いてしまいたい。
なんか変だ。わたしは変だ・・・。
窓の外もなんだか変だ。だって秋の虫みたいな鳴き声が聞える。 気のせいかな耳鳴りかなって。耳を澄ませているけど。どうしても秋の虫だ。
そしてどんどん暗くなる・・・。
あっ。誰だろう?口笛を吹いている。あれは犬を呼んでいる声のようだ。 逃げまわっているのかな。もう晩ご飯の時間なのにおなか空かないのかな。 ちゃんと言うこと聞かないと後で叱られてしまうのに。はやく。お帰りよ。
逃げてる。どんどん逃げている・・・。
ばかだな。逃げれば逃げるほど。自由は遠くなるのかもしれないのにさ。
でもね。時々は愚かなのがいい。
逃げてしまえたらどんなに楽だろうって。ふっと真剣に思う時が私にもある。
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