ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2007年05月14日(月) 少女たちの記憶

きらきらと眩しい。なにもかもが光のなかで息をしているように思う。
ちっぽけなことも。どうしようもないことも。お陽さまに溶けていく。



今日はスミちゃんの誕生日だったから。いちねんぶりにメールをした。
もう何年も会えないでいるけれど。いちねんはいつも大急ぎでやってくる。

スミちゃんはずっと昔。転校生だった私にとても優しく声をかけてくれた。
休み時間に廊下の窓からぼんやりと外を眺めていたら。すたすたすたっと。
真っ直ぐに歩いて来たのだ。同じクラスではなく隣りのクラスから出て来て。
にこにこっと微笑んだ。「ねえ、一緒にソフトボールしない?」て言ったのだ。

私は咄嗟に断ってしまったというのに。スミちゃんはちっとも不機嫌ではなく。
休み時間のたびに私に会いに来てくれた。そうしてすぐに私達は仲良しになった。

放課後。ソフトボールをしているスミちゃんを窓からずっと見ていた。
運動神経がとても良さそうで。逞しくてかっこいいなあって思いながら。
私はどうしても入部する気にはならなくて。見ているだけが楽しみとなった。


そして間もなく。わずか一学期のみの在学で。また転校していくことになったのだ。

家庭の事情というのは。結局は親の都合に他ならず。子供は何処へだって行くべきで。
せっかく仲良くしてくれた友達とも。やっと慣れ始めた土地ともさよならとなる。

親というものはほんとうに身勝手だと思った。そしてとうとう大切な家族が壊れた。


だけど。今思えばそのおかげだろう。私はまたスミちゃんのいる町に帰る事が出来た。
そして前よりもいっそう仲良しになることが出来たのだ。ふたりとも恋をしては。
あの逞しいスミちゃんさえも時々は涙を流すこともある。赤ちゃんはどうしたら。
出来るかを教えてあげた時のスミちゃんは。すごいショックでおろおろと泣いた。

先輩に浜辺に呼び出されたていきなりキスをされた時だ。子供みたいに泣いては。
どうしよう、赤ちゃん出来たらどうしようって。真っ先に私の家までやって来た。

だいじょうぶだよスミちゃん。キスくらいでニンシンはしないから。
だけどちっとも安心はしなかった。もっとすごいことを私が教えてしまったから。
そんなことはぜったいに嫌だと言った。どうしてそんなことするのかと泣き続けた。



そんなスミちゃんも。今は三人の子供の母親になり、もうお孫さんもふたりいる。
私達はお互いに。まるで運命のような『おとなの階段』を上り詰めてしまったらしい。

だけど少女だった頃のスミちゃんは。いつまでも私の記憶から消える事がなかった。


だからね。いつまでも忘れないでって。毎年の今日という日を大切にしている。

スミちゃんの泣き顔を知っているのは。私だけかもしれないなって思う。


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