初夏のようであったり。まだ春のようでもあったり。 まいにちが風まかせで。雲のように流れていくばかり。
ちちちちちっと一斉に鳴き声をあげているのは我が家の子つばめたち。 なんと今年は七羽も育っていて。小さな巣のなかで重なりあうようにしている。 親つばめはそれは忙しそうで。とにかく餌をとせっせと子育てに励んでいる様子。
やはり。だからなのだ。先日の哀れだった一羽のひなは本当に致し方なかったと。 あらためて思う。このうえ八羽となればとうてい巣には入りきれなかっただろう。
家主である私達はいちにちに何度か、こうして巣を見上げるのが日課となった。 サチコは落ちてしまったひなが死んでしまったことを知らされていなくて。 「あの子もちゃんとここにいるよね」ってとてもほっとしているのだった。
あの日、父親である彼がサチコにちいさな嘘をついた。 「お父さんがちゃんと巣に戻したから大丈夫だぞ」って。
いまはだから。その七つの子たちが無事に空へと飛立つ日を心待ちにしている。 きっときっと嬉しくてならないだろう。ちいさなのが精一杯に羽ばたくのって。
勇気みたいな希望みたいなのがいっぱいあふれてくるのだから。
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