| 2007年05月10日(木) |
そんな風にあおられて |
夜明け前まで降っていた雨がやみ。陽が昇ると突風のような風が吹き荒れる。
そんな風にあおられて。折れもせずしなやかに踊り続けるのは土手の茅花。 『つばな』と呼ぶらしい。ねこじゃらしに似ているがもっと柔かで白い穂である。
むかし子供だった頃。それを食べたことがある。 誰ともなく「これ甘いよ」ってことで。みんなそれを「甘いガム」だと言った。
線路で遊んではいけないといつも言われていたけれど、ついつい行ってしまう。 その当時はまだSLの時代で、私達はその勇ましい姿をすぐ間近で見る事が出来た。
終着駅だったその山村のちいさな駅のことを。今でもふっと懐かしく思い出す。
甘いガムは線路沿いにそれはたくさん群生していた。 ちろちろとかわいらしくいつもそこで揺れていたのだった。
かっぱえびせんもポテトチップスなかった頃。それがおやつ代りだったのか。 そうでもなかったはずで。たぶんそれは初夏恒例の楽しみのひとつだったようだ。
子供の頃にはほんとうにそんな楽しみがいくつもあったのだなあって思う。 春のレンゲの首飾りや。白詰草のお姫さま風の花冠や。蒲公英の綿毛の飛ばしっこ。
季節ごとに恵まれて。季節と戯れつつ。季節をどれほど愛しく思ったことだろう。
おとなになるとずいぶんと忘れてしまうことが多くなる。
季節はただ流れているとさえ思ってしまうこともある。
茅花は。ほんとうに甘いガムだったのか。ふと確かめてみたくなった。
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