早朝は霧がたちこめていたけれど。すっかりと晴れて初夏の陽気になった。
今年も無事にツバメのひなが生まれ。今朝はそのちいちゃな姿を見る事が出来た。 ほのぼのと嬉しく思う。命がすくすくと育つ様子はまるで我が子のようでもある。
だけど悲しいこともある。いままでなんどそれを目の当たりにしたことだろう。 ひなが巣から落ちる。それは事故だとずっと思っているのだけれど。彼は言う。 親が間引くのだと。いちばん弱い子を突き落とすのだと言う。そうじゃないと。 いくら反論しても聞き入れてはくれない。それならおまえが育ててやれと言う。
昼間そのか弱い一羽を拾いあげて巣に戻してやった。 しかし日暮れてまた、そのひならしいのが落ちていた。 もう母ツバメは夜の支度で巣のひなたちをすっぽりと包みこんでいる頃。
父親らしきツバメはすぐそばの電線で羽根を休めている。 誰も鳴くことさえしない。平然とほんとうに何事もないかのように夜が来る。
可哀想だけどしょうがないじゃないかと彼は呟き、何とかしてあげてと私は嘆く。
ひなは救い上げられたけれど巣には戻されず、巣の近くの窓枠に置かれた。 事故ならば親が見捨てる訳はないと彼は言い。朝になればすべて解ると言う。
毎年のことだ。いくら巣に戻してあげても駄目だったことはもう知っている。 だけどいつだって願う。万にひとつでもそうしてあげてよかったと思えるように。 生まれた命たちがみな揃って無事に巣立つ事が出来ればどんなにいいことだろう。
後ろ髪を引かれる思いで玄関のドアをしめた。
理不尽だとおもうことは容易い。残酷だとおもうことも容易い。
涙が。なんだか悔しくてならない涙がほろほろとあふれた。
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