桜がぽつりぽつりと咲き始めたそうだ。まだ確かめてはいない。 今日桜並木のある道を通ったのだけど。どしゃぶりの雨が降るばかりだった。
この雨があがればきっとに違いない。なんだか心がくすぐったくしている。 いつもの期待というのとはちょっと違う。どこか異質のむず痒さがあるのだ。
思い通りになるのに逆らってみたいのかな。なんとなくそう思ったりしている。
ある意味。それは。素直ではない。
一昨日。使い古した携帯をやっと新しくした。 大切なボイスデーターをなんとか移せないかと無理な相談をしながら。 「亡くなった友人の声なんです」と涙声で嘘までついてしまった。 店員さんがPCに繋いで頑張ってくれたけれど、やはり駄目だった。 「潔く諦めてしまえ」ともうひとりの自分が苛立つように言うけれど。 「いやだ・・いやだ・・」とほんとうの自分が泣きながら駄々をこねた。
古い携帯はもう電池パックの替えがなく。それでも少しでも充電が出来れば。 データーは残るのだそうだ。諦めずに時々充電してみて下さいと励ましてもらう。
その時。ほんとうにちょうどその時、大切な声の主からメールが届く。 その着信音が夢ではないかと思った。こんな偶然があるものだろうか。
音信不通がもはや当然だとずっと諦めていた。 もう『おんな』ではいたくないとさえ思っていたのに・・・。
懐かしい声がこだまするように聴こえてくる。
行かなくちゃ。もっと遠くに行かなくちゃって思う。
だけどこの空はひとつ。この空に。もう嘘はつけない。
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