うぐいすがほうほけきょと鳴きにけり。だから今日が初鳴日。
川端の木々のあいだからその声が聞こえた。 姿は見つけられなかったけれど。すぐ近く。
とてものどかな朝だった。そうしてそこから優雅に飛び立ったのは。 うぐいすではなく白い鷺。はたはたはたと羽ばたく音が空へ響いた。
朝陽が川面に映しだされて。いちにちがまたゆるやかな水の流れの如くある。
ありがたいことに。あのどうしようもなかった心の灰汁がいつのまにか。 泡のように消え去ってしまって。なんだか悪い夢を見ていたようにも思う。
さらりさらりと水に流れてしまったのかもしれない。 何かにひどく拘ってしまう愚かさを思い知ってみては。 その何かに対し。ふっと感謝の気持ちが芽生えてくると。
そのおかげでひとを思い遣ることが出来るようになった。ありがとう。 あの時ああしてくれたからこんなことがわかったのかな。ありがとう。
けっきょく憎むべきは自分。懲らしめなければいけないのは自分しかない。
自分の敵は。まさに自分であるということだろう。
だからと言って。自分を嫌いになってはいけない。
自分を愛せないひとは。ほかの誰も愛せないのだから。
わたしはわたしを愛するがゆえ叱咤する。激励もする。
がんばれよわたし。自分に負けるなよ。くじけるなよわたし。
うぐいすの鳴き声が静まったあとには。
からすが一羽あほうあほうと鳴くばかりだった。
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